幼児期の色彩感覚の発達
前回のコラムでは『自分が見えている色と他人が見ている色の違い』について書きました。
では、子どもにはどのように色が見えているのでしょうか。
生後半年頃まで、人は赤青黄しか見分けることができません。
子どものおもちゃがカラフルな色合いになっているのはそのためです。赤青黄のように、はっきりとした色あいの色を『キッズカラー』と呼ぶこともあります。色の三原色を混ぜてできる色、中間色と呼ばれる紫、ピンク、緑色などが見分けられるようになるのは生後半年以降です。
生後半年以降、視力とともに色彩感覚は徐々に発達していき、3~6歳頃までに大人と同じくらいの色を見分けることができるようになります。
この時期の子どもを対象にしたアートセラピーには、絵の具、パステルが最適。
簡単に混色のできる画材を選びましょう。混色だけでなく、水と混ぜて濃淡を表現できる水彩絵の具、色の変化をゆっくり観察しながら描けるソフトパステルは、特におすすめです。
反対に、色えんぴつのように、固く混色が困難な画材は向きません。
子どもたちは色を混ぜながらオリジナルの色を作ることが大好き。遊びながら新しい色彩感覚を身につけていきます。
色彩豊かな作品を描く子どものご家族は、カラフルな色の服を好んで着ていることが多い、ということが現場ではよくあります。黒、グレー、白の洋服ばかり着ている場合に比べ、日々多くの色にふれていることが影響しているのでしょう。
人はよく触れる情報には敏感になるものです。
たとえば、「雪」という言葉。「新雪」「粉雪」…雪をあらわす語彙をいくつあげることができますか?極寒の地で暮らすエスキモーの人たちは、雪に関して50種類以上の語彙を使い分けているそうです。
色にも同じことが言えるでしょう。普段、どのような色に触れていますか?
色彩感覚が豊かになると、空の変化を楽しんだり、四季を感じたり、、毎日の生活も豊かに楽しくなりそうです。