箱庭療法とは
箱庭療法は、遊戯療法*から派生したアートセラピー(芸術療法)のひとつです。
砂のはいった箱(=箱庭)の中に、小さなおもちゃなどのアイテムを自由に並べていきながら自由に何かを表現します。基本的にはアートセラピストとクライアントの1対1で行われます。
箱庭療法は、1965年に心理学者の故河合隼雄氏によってスイスから日本に持ち込まれました。
箱庭の中で表現された世界観は、本人がこころで感じている世界の“何か”を象徴しているとされています。
感情の言語化が苦手で、非言語的な表現の多い日本人の器質に向いていると考えられ導入されました。
箱庭療法だけで独立して行われることは少なく、その後のカウンセリングとセットで用いられることが通常です。
クライアントが作成した箱庭をもとに対話をすることで、言葉にならない葛藤に気づいたり、自分自身と向き合うきっかけになるなど、自己理解が期待されます。
完成された箱庭をセラピストが分析し、本人の症状の見立てにも活用されます。
箱庭療法を導入した河合隼雄氏が日本臨床心理士学会の会長を務めたこともあり、日本に広く普及しています。
河合氏は現在の臨床心理士制度や、スクールカウンセラー制度の確立に尽力した人物であることも、日本での箱庭療法の普及に影響しているでしょう。
しかし、他にも有効な心理療法が誕生したり、社会の多様化が進んだ現代においてはその効果を疑問視する声も多く、取り入れている病院や施設は減少傾向にあります。
*遊戯療法…ゆうぎりょうほう・子どもを対象に「遊び」をコミュニケーションや自己表現の手段として行われる心理療法のこと。
日本箱庭療法学会の公式サイト
http://www.sandplay.jp
“一般社団法人日本箱庭療法学会は箱庭療法の基本的課題や原理に関して、面接事例およびその理論的考察等の発表を通し、会員の臨床活動および研究活動の相互発展を支援することを目的に活動を行っています。”