自分の見ている色は他人とは違う
あの人と自分では、色の見え方が違うのかもしれない…。そんなふうに思ったことはありませんか?
光(色)は目に入ってくると、水晶体や角膜を通って網膜に到達し、脳の視覚野に送られます。
水晶体はカメラでいうところのレンズの役割を果たす器官です。この水晶体も肌などと同じように20歳前後から徐々に老化が始まります。水晶体の老化は”黄変化”と呼ばれ、レンズが徐々に濁ってくるという現象がおこります。
黄変化が進むと、青系の色は黒っぽく、黄色系の色は白っぽく見えるようになります。赤系の色には大きな変化はありません。
個人差はありますが、50代頃から色の見え方が変化したことに気づく人が多いようです。今まで紺と黒の洋服の見分けがついていたのに、明るい場所でじっくり見ないと分からないということが起こります。
高齢者を対象とした現場でも、「もっと色を濃くしたい!」とおっしゃってかなり濃い色合いに仕上げる方を見かけます。
ご自分の作品ですから、人によく見られることよりも、自分自身が満足のいく作品を目指すことを大切にしていますが、その色合いに驚いたご家族から、「どうしてうちの人はもっと穏やかな色で描けないのでしょうか?」と心配されたことがあります。
私が見ている色は他人とは違うのです。
同じ絵であっても、家族であっても、全く同じに見えているわけではないのです。
周りの人からみた良い色よりも、自分が好きと思える作品が描けると良いですね。