ブランディングと信頼①〜私がアートセラピーをお仕事にするまで(2017年前半)

ブランディングと信頼①〜私がアートセラピーをお仕事にするまで(2017年前半)

「どうやったらアートセラピーを仕事にできるの?」

一般的な会社員と違って、大々的に求人があるわけではないアートセラピストのお仕事。
『アートセラピーの教科書』をご覧になっている方には、どうやったらアートセラピストになれるのか知りたい人も多いのではないでしょうか。

私自身がアートセラピストになるまでの道のりを書き記しておきます。今回はその第五弾。
かかった費用等も公開していますので、これからアートセラピーのお仕事をしようとしている方はぜひ参考にしてくださいね。

自分のブランド力について

このサイトでも紹介しているようにアートセラピーには本当にたくさんの種類があります。(アートセラピーの種類)

では、私が提供している3色パステルアートは他のアートセラピーと何が違うのでしょうか?

自分の中で、漠然とこういうところが3色パステルアートだけの魅力だなと言うものはいくつかありましたが、それをしっかり発信していかないとはじめての人には何も伝わりません。

特にパステルアートには他の資格もいくつかあります。その違いをより明確に伝えるために、私はまず3色パステルアートの魅力をいくつか書き出して整理してみました。

・3色しか使わないのですごく簡単
・100円均一でそろう道具を使っているので手軽にはじめられる
・たくさんある心理療法の中から良いとこどりして作っている
・心理学と脳科学をベースに開発されている

このように、ここには書ききれないくらいたくさん出てきます。その中でも特に「ここが一番の魅力で差別化のポイントだな」と思える一点に絞ることにしました。それが、

・心理学と脳科学をベースにしている

という点です。
安くて簡単と言うのはとても魅力ですが、簡単に真似できてしまうというデメリットもあります。自分だけのオリジナリティ、人には真似できないようなところを選ぶと良いでしょう。

私の場合は一点に絞りましたが、必ずしも一点に絞らなければいけないというわけではありません。

たとえば、『簡単に取り組むことができて〇〇の地域限定』や、『 小学生の発達障害の子の保護者限定』など自分の得意分野に特化するのも1つの方法です。

差別化ポイントをいくつか組み合わせることであなただけの唯一のブランディングになるはず。自分の強みを整理して自信を持つためにも、一度自分のブランディングについてじっくり考えるのはとても大切です。

ブランドに相応しいという根拠を示す

ブランド発信していくには自分自身がそのブランドにふさわしい人になる必要があります。

たとえば、『アートセラピーで自分を知る』と行っている人が自分のことがよくわからず常に悩みを抱えているような状態だったら全く説得力がありません。ブランドを掲げるからにはそれにふさわしいような自分に慣れているか常にチェックが必要です。

そしてブランドの通りの人物だという根拠を、どんどん発信していく必要があります。

私の場合は『心理学と脳科学をベースに開発』という部分に絞ったので、その根拠を数値として示す必要がありました。そこで私がはじめに取り組んだのが3色パステルアートと脳波の実験です。

脳波測定の結果を示して信頼感を得る

まずは脳波研究の機関に連絡を取ってみて、脳波測定機が借りることができるかどうかを調べてみました。

するとその脳波計を使っている病院を紹介していただけました。その病院の協力を得て3色パステルアートを実施しながら、脳波を測定する実験を行いました。

結果は9割以上の脳波がリラックス状態を示すというとても素晴らしいものが得られました。

私としては、そうなるように開発したものなので当然と言えば当然の結果なのですが、やはり信頼感を得るためには周りの人にもわかるように数字で示すことも重要です。(3色パステルアートによる創作活動が脳波に与える効果)

自分の子育て経験や職歴が武器になると思う人は、今までの経歴や自分の経験をブログなどで発信するだけでも良いでしょう。リラックス効果が得られるなどの漠然とした表現をしている方は、私のように数値をとってみたり、お客様からの感想をたくさん集めるなど、まだ体験していない人にも信頼してもらえるような工夫が必要です。

この頃のアートセラピーのお仕事のスタイル

ブランディングはアートセラピーの仕事と直接関係してくるものではないので、この時期も基本的な活動はこれまでと変わりません。
・定期的にワークショップを開催
・様々な施設に訪問してアートセラピーを実施(有料・無料共に)
・雑誌の表紙絵を担当
などを続けていました。

この時期、お仕事の依頼は全体的に増え、割合としてはホームページと口コミが半々くらいになってきました。ホームページ経由で発生するお仕事と、ご紹介していただくお仕事の比率が逆転しそうだなと感じはじめた時期です。

紹介でお仕事をいただけるということは、信頼されている証拠。これまで4年間コツコツ頑張ってきたことが、人に認められるようになりとても嬉しかったです。

この期間にかかった費用

・サイトドメイン利用料…699円/年
・レンタルサーバー利用料…500円/月
・材料費…500円/人
・会場費(主に新宿)…3000円/時
・コンサルティング…4,600円/月

この頃の収入のメインもやはり定期開催のワークショップ。それに加えて個別のセッションや絵の原稿料などです。30~40代男性会社員の平均収入の2倍くらい。気になる方は調べてみてください。

編集後記

アートセラピストとして活動を始められることができたら、今度はどのように継続していくかと言うことの難しさを知りました。

スタートさせることも大変ですが、それをずっと続けていくと言うことも同じくらい大変です。

ずっとスタートダッシュの状態では、息切れしてしまうもの。将来の自分のために、しっかりと周りの信頼を得ておくこと、それを外に向けて発信しておくことというのはとても大切だと感じています。

また、何かをしようと思った時に、誰かに依頼する(今回の私の場合では脳波の研究機関にとりあえず連絡を取ってみる)と言うことが、苦手な人が多いのではないでしょうか。

断られると確かにショックですが、断られても当然の状況だと思います。
相手からしたら似たような問い合わせは毎日たくさん受けているでしょうから、そのうちの1人に過ぎません。あまり気負わずに「とりあえず確認」というくらいの軽い気持ちで連絡を取ってみることをお勧めします。

 

About|この記事を書いた人

浜端望美(はまばたのぞみ) 心理カウンセラー 3色パステルアート主宰一般社団法人日本心理療法協会 事務局長ベスリクリニックこころ外来 勤務JAPAN MENSA会員   1986年生まれ。神奈川県横浜市出身。大学卒業後、広告業界に就職。印刷やデザインに携わる仕事をしながら、本格的にカウンセリングを学びはじめる。 2011年心理カウンセラーの資格を取得し転職。椎名ストレスケア研究所(株)に勤務し心理カウンセラー・講師としての経験を積む。その後、心療内科デイケア勤務や研修講師などの経験を経て独立。現役の心理カウンセラーでありながら、優秀なアートセラピストの育成、アートセラピーの普及活動に尽力している。 日本ではまだなじみの浅いアートセラピーを、メンタルケアの現場に積極的に取り入れ、そこから得たノウハウを体系化。『癒し』『デトックス』などという、漠然とした言葉で語られがちなアートセラピーの領域を、論理的に、かつ分かりやすく解説する。論理と感情がバランス良く組みたてられた独自のカリキュラムは、アートセラピストだけでなく、心理カウンセラー、コーチ、看護師、教員、療育担当者、デザイナー、経営者など幅広い層に定評がある。NEXT MORE >>>