アートセラピストのための時間管理

アートセラピストのための時間管理

アートセラピーに限らず仕事全般に言えることですが、時間の管理というのはとても大切な要素です。

自分を中心に考えてしまうと、「セッションを延長する分には大丈夫だろう」と勘違いしがちです。
けれど、参加者の人にはその後の予定があったり、ご家族がお迎えに来てるたりと、人それぞれ事情があります。
特に高齢者施設などで行っていると、お風呂やお薬の時間が決まっているケースも多いのです。
さらに、子どもや高齢者、障害ある方、メンタル的な不調がある方は、セラピストが思ってる以上に体力がないもの。アートセラピーは楽しいけれど、体力の消耗が激しい、という人もいらっしゃいます。

なので時間が長くても短くてもNGです。
予告した通りの時間に開始し、予告通りに終れるように努力をしましょう。

参加者の進行度合いがバラバラ…

特に制作をするアートセラピーに関しては、遅い人がいたり早い人がいたりと、進行度合いがバラバラになってしまうケースが多いはず。
この感覚は、自分でたくさんの現場経験を重ねることでしか身につきません。

はじめのうちは、同じアートセラピーを取り扱っている先輩にアドバイスを求めてみるのも良いでしょう。
子どもだったらどれぐらい時間がかかるのか、高齢者だったら?一般の大人向けだったら?
対象者によって時間はかなり変わってくるはずです。

現場では誰のペースに合わせるべきか?

制作のペースがバラバラだと、誰に合わせるべきか迷ってしまいます。
私の場合は、『うしろから2番目の人』のペースに合わせるようにしています。

手が早い人だとすぐに描き終わってしまい、「次はまだかな」というふうにキョロキョロ様子を伺っていることもありますが、「少し待っていてくださいね」とお声掛けをして、今の手順が終わってしまっていることに気づいていることを伝えます。

一方でときには、何も声を掛けずに見守っていることもあります。
何も言わなくても、周りの人がこう描いているところを見ているうちに、何か新しいものを思いついて描き出したりと、それぞれにペースがあるからです。

もし一番ゆっくりな人に合わせたら、、

いちばんゆっくりなペースの人に合わせている時期もありました。
けれどそうすると、全体が間延びしてしまいます。

さらに、『描くペースが遅い人』とこちらが思っていても、実は本人の中ではもう終わっていて、時間が切られるまでずっと描いている、というタイプの方もいることに気がつきました。
これは、描くペースが遅い、というには少し語弊がありそうです。

そのようなケースまで考慮すると、最後から2番目の人にペースを合わせることがちょうど良いのです。

About|この記事を書いた人

浜端望美(はまばたのぞみ) 心理カウンセラー 3色パステルアート主宰一般社団法人日本心理療法協会 事務局長ベスリクリニックこころ外来 勤務JAPAN MENSA会員   1986年生まれ。神奈川県横浜市出身。大学卒業後、広告業界に就職。印刷やデザインに携わる仕事をしながら、本格的にカウンセリングを学びはじめる。 2011年心理カウンセラーの資格を取得し転職。椎名ストレスケア研究所(株)に勤務し心理カウンセラー・講師としての経験を積む。その後、心療内科デイケア勤務や研修講師などの経験を経て独立。現役の心理カウンセラーでありながら、優秀なアートセラピストの育成、アートセラピーの普及活動に尽力している。 日本ではまだなじみの浅いアートセラピーを、メンタルケアの現場に積極的に取り入れ、そこから得たノウハウを体系化。『癒し』『デトックス』などという、漠然とした言葉で語られがちなアートセラピーの領域を、論理的に、かつ分かりやすく解説する。論理と感情がバランス良く組みたてられた独自のカリキュラムは、アートセラピストだけでなく、心理カウンセラー、コーチ、看護師、教員、療育担当者、デザイナー、経営者など幅広い層に定評がある。NEXT MORE >>>