落ちこぼれと吹きこぼれ
『落ちこぼれ』と『吹きこぼれ』という言葉を聞いたことはありますか?
日本語俗語辞典で『落ちこぼれ』と調べると、
学校の授業についていけない学生のこと。組織・集団についていけない人のこと。
と書いてあります。
言葉自体も、ニュアンス的にもなんとなくイメージができるのではないでしょうか。
一方で、教育現場では『吹きこぼれ』という言葉もあります。
この言葉を聞いてことはありますか?
『吹きこぼれ』とは、下のような意味で使われる言葉です。
極めて優秀な児童、生徒が、通常の学校の授業内容に物足りなさや疎外感を持ったり、実際に他の生徒から疎外されたりすること。(Wikipediaより抜粋)
『落ちこぼれ』と言われる人たちは、集団から浮いてしまったり、「自分がいると人に迷惑がかかる」と自己肯定感が下がっていきがちです。
一方の『吹きこぼれ』も、集団から浮いてしまい、けれど優秀が故に誰も助けてくれないので、「自分には価値がない」と自己肯定感が下がっていきます。
できる・できない、の機能で比べていませんか
『落ちこぼれ』も『吹きこぼれ』も根っこにあるものは機能論です。
〇〇ができるか、できないか、人を機能で測っても誰の得にもなりません。
一見良さそうな『できる人』ほど、実は孤独で誰からも理解されにくい存在です。
学校では「できる子だから大丈夫」と放置され、職場では「あの人は仕事ができるから」とまるで機械のような扱いを受けます。
そして、どのような人でも平等にいつかは老いるときがきます。
機能は年齢とともに低下していくのです。
何かのスキルを高めたり、誰にも真似できないような経験をすれば自己肯定感が上がると勘違いしている人は、要注意です。
機能ではかることのできない世界観へ
本来、人には正解などなく比べようのないもの。
ひとつひとつの存在が、独創的で、豊かで、おもしろいもの。
それは、絵や音楽などアートの領域にとても似ています。
人にとって、それぞれの生き方そのものが作品と言えます。
アートセラピーでの作品は、もちろん人生より短時間で完成します。
そしてその作品を、参加者同士で俯瞰(ふかん)して見ることができるのもおもしろいところです。
自己肯定感は、『感覚』でしかないので、知識で伝えることはできません。
アートセラピーを通して、ぜひその感覚を味わってください。