アートセラピーで遊びなおしをする大人たち

アートセラピーで遊びなおしをする大人たち

アートセラピーの現場では、いくつになってもこどもの頃に戻ったように『遊びなおし』をすることができます。

こどもの頃、好きな遊びはなんでしたか?
私はひとり泥だんごづくりに熱中していました。

こどもは遊びながらたくさんのことを身につけます。

・友だちとのコミュニケーション
・ひとつのことに没頭する集中力
・自由な創造力
・指先の器用さ
・身体を動かす力(体力)やバランス感覚

自由にのびのびと遊ぶことは、身体的にも精神的にも非常に重要な役割を果たします。

しかし残念なことに、誰もが自由にのびのびと…という機会に恵まれるわけではありません。

ルールやしつけが厳しすぎる環境で育ったり、
一方的ないじめを受けたり、
ひとつのことに集中できる環境が整っていなかったり、
身体が弱くて思い切り遊ぶことができなかったり、、、

理由は様々ですが、こども時代に遊びから得られたはずの体験が、大人になってからも得られていない人も多いのです。

こども時代の過ごし方が自己肯定感に与える影響

厳しいルールやしつけを受けてきた人は、常に『正解』を探す傾向にあります。
怒られないためには、自分の意見よりも『正しいこと』が優先です。

けれど、大人になってみると、どこにも『正解』はありません。
誰かにとっての『正解』(のようなもの)があるだけなので、自分の正解は自分で決めて生きていかなければいけません。

自分の意見を押し殺し続けてきた人は、自分にとっての正解が分からず自信を失います。
そして、自分の意見が無いので、いつも誰かにとっての『正解』に振り回されてしまいます。

また、こどものときに、乱暴な友だちや兄弟がいたとします。
そうすると、自由にのびのび遊ぶというよりは、相手を怒らせないように顔色を伺いながら遊ぶようになります。
この場合も先程と同じように、大人になってからも誰かの顔色を伺いながら人とコミュニケーションをとる傾向が強くなります。

こども時代に身につけたコミュニケーションの型
このように、人にはそれぞれ『コミュニケーションの型』のようなものがあります。
コミュニケーションの型をいくつも持っていて、場所や相手に応じて柔軟に使い分ける人もいれば、ひとつの型しか持っていない人もいます。

こどもは遊びを通して、
・対等な横のつながり
・お互いの違いを楽しむこと
というコミュニケーションの型を学びます。

本来、人間関係は常に1対1。
どちらかが正しく、どちらかだけが間違っている、ということはありません。
けれど自己肯定感が低い人は「自分が悪い」と思い込む傾向があるようです。

このコミュニケーションの型が外れるだけでも、ずいぶんと楽になります。

大人だけの安心できる場所で

こども時代に自由にのびのびできる場所があったかどうかは、運任せのところもあります。
こどもだから、つい強い口調で言ってしまったり、
こどもだから、口より先に手が出てしまったり、
こどもだから、体格の差が大きかったり。

大人になってから、自由にのびのびと遊びなおしをすることはできます。

アートセラピーを通して心はこどもに返りながら…
それでいて、大人だけの安全で安心できる環境で、もう一度遊びなおしをしてみませんか?

意外とこどもの頃よりも、自由にのびのびと遊ぶことができるかもしれません。

About|この記事を書いた人

浜端望美(はまばたのぞみ) 心理カウンセラー 3色パステルアート主宰一般社団法人日本心理療法協会 事務局長ベスリクリニックこころ外来 勤務JAPAN MENSA会員   1986年生まれ。神奈川県横浜市出身。大学卒業後、広告業界に就職。印刷やデザインに携わる仕事をしながら、本格的にカウンセリングを学びはじめる。 2011年心理カウンセラーの資格を取得し転職。椎名ストレスケア研究所(株)に勤務し心理カウンセラー・講師としての経験を積む。その後、心療内科デイケア勤務や研修講師などの経験を経て独立。現役の心理カウンセラーでありながら、優秀なアートセラピストの育成、アートセラピーの普及活動に尽力している。 日本ではまだなじみの浅いアートセラピーを、メンタルケアの現場に積極的に取り入れ、そこから得たノウハウを体系化。『癒し』『デトックス』などという、漠然とした言葉で語られがちなアートセラピーの領域を、論理的に、かつ分かりやすく解説する。論理と感情がバランス良く組みたてられた独自のカリキュラムは、アートセラピストだけでなく、心理カウンセラー、コーチ、看護師、教員、療育担当者、デザイナー、経営者など幅広い層に定評がある。NEXT MORE >>>