無気力状態になっている人への対処のコツ

無気力状態になっている人への対処のコツ

前回は、『選ぶ』という行為が脳に与える刺激について書きました。

対象者の状態に合わせて、選択肢を絞ったり、増やしたりして、適度に『選ぶ』ことができる環境作りが大切です。

この選択肢の量。少なすぎることはあまりなく、多すぎることがほとんどです。

色数がたくさんある色鉛筆やパステル、種類が多すぎて素人には違いがわからないアロマ。

自由という名の放置

アートセラピストの中には、「自由という名の放置」という言葉を使う人がいます。

「自由にどうぞ」という言葉は、相手の意思を尊重する良い言葉に聞こえます。
ですが、実際は多くの人がこの言葉に戸惑うのです。

例えば絵を描くとき、テーマも画材も大きさも自由だとしたらどうでしょう。
普段から絵を描いている人でなければ、どこから手をつけて良いのか迷ってしまいます。
これでは選択肢が多すぎます。

画材や大きさを指定し、テーマを決める。
場合によっては描き方の順番も、ある程度決めておいて伝える。

このように制限された中でも、人それぞれ個性が出ます。
全く同じものはできないのがアートセラピーの面白いところです。

むしろ限定されたルールの中だからこそ、ひとりひとりの違いが際立つのです。

『選ぶ』という行為が脳に与える負担

無気力状態になっているとき、ストレスや病気などが原因で頭の回転が遅くなっているときに、『選ぶ』行為が脳に与える負荷は意外と大きいのです。

選択肢は最小限に。
完成させることで得られる達成感と自信、
表現する過程の楽しみや喜びを味わえるような工夫ができると良いですね。

About|この記事を書いた人

浜端望美(はまばたのぞみ) 心理カウンセラー 3色パステルアート主宰一般社団法人日本心理療法協会 事務局長ベスリクリニックこころ外来 勤務JAPAN MENSA会員   1986年生まれ。神奈川県横浜市出身。大学卒業後、広告業界に就職。印刷やデザインに携わる仕事をしながら、本格的にカウンセリングを学びはじめる。 2011年心理カウンセラーの資格を取得し転職。椎名ストレスケア研究所(株)に勤務し心理カウンセラー・講師としての経験を積む。その後、心療内科デイケア勤務や研修講師などの経験を経て独立。現役の心理カウンセラーでありながら、優秀なアートセラピストの育成、アートセラピーの普及活動に尽力している。 日本ではまだなじみの浅いアートセラピーを、メンタルケアの現場に積極的に取り入れ、そこから得たノウハウを体系化。『癒し』『デトックス』などという、漠然とした言葉で語られがちなアートセラピーの領域を、論理的に、かつ分かりやすく解説する。論理と感情がバランス良く組みたてられた独自のカリキュラムは、アートセラピストだけでなく、心理カウンセラー、コーチ、看護師、教員、療育担当者、デザイナー、経営者など幅広い層に定評がある。NEXT MORE >>>