無気力状態になっている人への対処のコツ
前回は、『選ぶ』という行為が脳に与える刺激について書きました。
対象者の状態に合わせて、選択肢を絞ったり、増やしたりして、適度に『選ぶ』ことができる環境作りが大切です。
この選択肢の量。少なすぎることはあまりなく、多すぎることがほとんどです。
色数がたくさんある色鉛筆やパステル、種類が多すぎて素人には違いがわからないアロマ。
自由という名の放置
アートセラピストの中には、「自由という名の放置」という言葉を使う人がいます。
「自由にどうぞ」という言葉は、相手の意思を尊重する良い言葉に聞こえます。
ですが、実際は多くの人がこの言葉に戸惑うのです。
例えば絵を描くとき、テーマも画材も大きさも自由だとしたらどうでしょう。
普段から絵を描いている人でなければ、どこから手をつけて良いのか迷ってしまいます。
これでは選択肢が多すぎます。
画材や大きさを指定し、テーマを決める。
場合によっては描き方の順番も、ある程度決めておいて伝える。
このように制限された中でも、人それぞれ個性が出ます。
全く同じものはできないのがアートセラピーの面白いところです。
むしろ限定されたルールの中だからこそ、ひとりひとりの違いが際立つのです。
『選ぶ』という行為が脳に与える負担
無気力状態になっているとき、ストレスや病気などが原因で頭の回転が遅くなっているときに、『選ぶ』行為が脳に与える負荷は意外と大きいのです。
選択肢は最小限に。
完成させることで得られる達成感と自信、
表現する過程の楽しみや喜びを味わえるような工夫ができると良いですね。