言葉より絵のほうが気持ちが伝わるってどういうこと?

というアートセラピーに関するシンプルな疑問に、
どうやって答えたらうまく伝えることができるだろうか…
と考えながら書いています。


言葉のグラデーション

たとえば、『さみしさ』の度合いを
言葉であらわしてください。

さみしい、とてもさみしい
人によっては、このふたつくらいしか出てこないかもしれません。

さみしい、さびしい、孤独、孤立、
ひとりぼっち、疎外感、
会いたい、いなくなりたい、消えたい

語彙が豊富な人なら、
パッと複数思いつくことができます。

それでも、せいぜい10個くらいではないかと思います。

反対に、言葉がひとつも出てこない人も、もちろんいます。


絵のグラデーション

同じように、『さみしい』を絵にしてみます。

さみしさを色でぬってみる。
さみしさに模様を描いてみる。
さみしさの形を切り取ってみる。

するとさみしさには、
もっともっとたくさんの種類があることに気がつきます。

あなたのさみしさと、私のさみしさは違う。

今日のさみしさと、明日のさみしさは違う。

絵にしてみるとそこには、
自分でもまだ知らなかった感覚が
隠れているかもしれません。

だから、描いてみる。

そして、一緒に眺めて、感じる。

ざっくり言うとこの作業が
アートセラピーの時間でおこっていることです。
(ほんの一部だけどね)


「さみしい」のたった4文字を、1時間かけて描いてみる。

「さみしい。」
「そうなんだね。」

言葉なら一瞬で終わってしまうようなやりとりを、
1時間かけて一緒に感じてみる。

描くテーマは、
「楽しい」でも、「嬉しい」でも、「幸せ」でも、なんでもいいです。

言葉でさらりと流してしまう気持ちを、
味わって、描いて、眺める。

それができるアートセラピーがやっぱり好きだなぁと思います。

言葉で伝えようとすると、
やっぱりいつもと同じオチに辿り着いてしまうのでした。

この記事を書いた人

浜端望美 (はまばたのぞみ) 公認心理師/アートセラピスト 2011年より、精神科クリニック・私立高校にてカウンセラーとして勤務する。個人へのカウンセリングの他、集団療法としてアートセラピーを実施。その後、民間企業でのメンタルヘルスの仕事に従事し、企業人へのカウンセリング・アートセラピーの実践とともに、研修講師の経験を積む。 並行して2012年より3色パステルアート®︎の名称で活動を開始。これまでの参加者は2歳〜93歳までと幅広く、延べ6000人以上に指導。現在は3色パステルアートインストラクターの育成も行い、アートセラピーの普及活動に注力している。