ネガティブ思考とポジティブ思考、脳の使い方の違い

ネガティブ思考とポジティブ思考、脳の使い方の違い

アートセラピーを継続していると、「あんなに悩んでいたことを考えられなくなった」「ストレスを抱えにくくなった」という人があらわれます。

これは、記憶の仕組みと深い関わりがあります。キーワードは7。

 

意外と少ないワーキングメモリー

人の記憶の容量(=ワーキングメモリー)の限界は、という実験結果があります。
(※参考論文:The Magical number 7±2: some limits on our capacity for processing information/GeorgeMirrer)
人が一度に処理できる記憶の容量は7です。多い人でも9、少ない人は5しかありません。

英単語の記憶でも、「dog」という単語はすぐに覚えられるのに、「difference」のように、7文字以上の単語になると急に覚えるのが難しくなります。
買い物リストも、7をこえるとメモが必要になります。

そのように考えると、私たちの脳は想像以上に性能が悪そうです。
ふだんよく考えるテーマを7個あげてみてください。
「料理の献立」「趣味のこと」「週末のスケジュール」「子どもの習い事」「仕事の納期」…たった7個しかない容量の中に、何を入れていますか?

もし嫌な記憶や、苦手な人のことばかりで7の容量を使い切ってしまっているとしたら…毎日が嫌なことしか起こっていないような錯覚に陥ります。

それ以外の出来事は、記憶のテーブルからこぼれ落ちてしまうのです。

アートセラピーで日々のストレスをリセット

7しかない容量が、ネガティブな情報で埋め尽くされている。これがストレスの原因のひとつ。
どこかで切り替える必要があります。

「アートセラピーでマインドフルネスの効果を実感、無心になれる理由。」の記事でも紹介した通り、「悩み」や「ストレス」は過去と未来にあります。今現在は発生していないことがほとんどです。

ネガティヴな情報で埋め尽くされてしまったストレスフルな脳をリセットするには、無心になれれば良いのでしょうが、それはなかなか難しいもの。

そこで有効になるのが、「記憶の置き換え」です。
そのためには、絵や粘土などものづくりを行うアートセラピーがおすすめ。

「どんな作品にしよう…」
「ここは何色で塗ろうかな…」
「もう一工夫してみよう!」
などと試行錯誤を繰り返しているうちに、7しかない記憶の容量が、作品のことへと自然に入れ替わります。

そして、これを続けていると普段の生活にも変化が訪れます。
いつもは見逃してしまう夕焼けの色に注目したり、植物のおもしろい形に見入ったり。人の脳は自分に関係のある情報だけを無意識に集める癖があります。

温泉旅行を計画している人は駅に置いてあるパンフレットが気になり、妊婦さんは街中にいる子どもに注目しやすくなります。猫好きな人は猫の情報にすぐ反応します。ストレスを抱えている人はストレスの原因になるものに敏感です。

あなたの脳はどのような情報に敏感ですか?
どのような情報をインプットしたかで、7しかない記憶の容量は全く別のものになります。
この7の使い方次第で生活が変わるはず。

アートセラピーで記憶の容量をリセットしてみてくださいね。

About|この記事を書いた人

浜端望美(はまばたのぞみ) 心理カウンセラー 3色パステルアート主宰一般社団法人日本心理療法協会 事務局長ベスリクリニックこころ外来 勤務JAPAN MENSA会員   1986年生まれ。神奈川県横浜市出身。大学卒業後、広告業界に就職。印刷やデザインに携わる仕事をしながら、本格的にカウンセリングを学びはじめる。 2011年心理カウンセラーの資格を取得し転職。椎名ストレスケア研究所(株)に勤務し心理カウンセラー・講師としての経験を積む。その後、心療内科デイケア勤務や研修講師などの経験を経て独立。現役の心理カウンセラーでありながら、優秀なアートセラピストの育成、アートセラピーの普及活動に尽力している。 日本ではまだなじみの浅いアートセラピーを、メンタルケアの現場に積極的に取り入れ、そこから得たノウハウを体系化。『癒し』『デトックス』などという、漠然とした言葉で語られがちなアートセラピーの領域を、論理的に、かつ分かりやすく解説する。論理と感情がバランス良く組みたてられた独自のカリキュラムは、アートセラピストだけでなく、心理カウンセラー、コーチ、看護師、教員、療育担当者、デザイナー、経営者など幅広い層に定評がある。NEXT MORE >>>