素人専門家と呼ばれても-カウンセラーが大切にする『構造化』
『タツキ先生は甘すぎる!』の
「アートセラピー監修者メモ」として執筆したnote記事をもとに、
一部を再構成・転載しています。
日本テレビ系列テレビドラマ
『タツキ先生は甘すぎる!』にて、
アートセラピー監修をしています。
第8話をご覧いただけましたでしょうか?
まだの方は、
TVer、Hulu、Netflixでも
視聴可能ですのでぜひご覧ください!
以下、ネタバレを含みます
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第8話のふりかえり
第8話は、前回に引き続き、
“いつもニコニコ!小さな大人”
小学3年生の安藤海音のストーリーでした。
『転移』『逆転移』という言葉が飛び出してきて、
現場のリアルにさらに足を踏み入れた第7~8話
心理職の私から見て、
支援の現場で問題が起こりがちな
それぞれの考え方の違いについて書いてみたいと思います。
『まだいてもいいよ』は何時まで?
ここにいたかったら、まだいてもいいよ
第8話の冒頭、
海音のお父さんがお迎えに来た場面で、
タツキが海音にかけた言葉です。
「まだ」とは、何時までいていいのでしょうか。
海音は10歳です。
17時、18時、19時、20時、、、?
ユカナイに泊まっていってもいいのでしょうか。
こんな時間までメッセージのやりとりするなんて、さすがに度がすぎているこちらは第7話で
三雲からタツキに向けられた言葉。
「こんな時間」とは何時でしょうか。
また別のシーンで映し出された
タツキと海音のメッセージアプリの時間は、
22時台をさしていました。
10歳にしては遅すぎるでしょうか。
10歳にしては…という判断が、
海音自身にできるのでしょうか。
不登校の子どもは昼夜逆転しているケースも多くあります。
20時起床8時就寝の人にとって、
22時とはどのような時間でしょうか。
これが子ども相手ではなく、
保護者が22時台に連絡をしてきたらどうでしょうか。
カウンセラーが大切にする構造化
私たちカウンセラーは、
『構造化』をとても大切にしています。
構造化とは、
支援において時間や料金、役割り、秘密保持の限界などの
「枠組み(ルール)」を事前に明確にすることです。
この明確な境界線を作ることで、
支援者・相談者双方が
安心して対話できる関係を整えます。
けれど、この枠組みを
相談者側からの視点で見てみるとどうでしょう…
「カウンセラー(心理師)は何もしてくれない」
という声が今にも聞こえてきそうです。
家族に『枠』はありません。
子どもから相談を持ちかけられたら、
早朝だろうと深夜だろうと対応するでしょう。
不登校がいつまで続くかなんて誰にも分かりません。
「支援は18歳までです」
という枠を作ったとしても、
家族にはそんなルールは通じません。
そんな窮地にいるとき、
「カウンセラーは何もしてくれない。」
そう言われてしまうのも、
自然の流れではないかと思います。
枠を越える支援
私たち心理職は(少なくとも私は)、
基本的に枠から出ません。
枠から出るリスクを知っているからです。
(駆け出しの頃に枠から出て痛い目にあったことのある同業者は私だけではないはず…)
だからこそ、慎重になります。
一方で、フリースクールのスタッフはどうでしょうか。
タツキは心理学の知識があるわけではないし、
構造化を強く意識しているわけでもなさそうでうす。
だからこそ、簡単に枠を越えていく。
(ように心理職からは見える)
その言動は、
不登校当事者の子どもやご家族から見れば、
「この人こそ本気で向き合ってくれる人だ」
と感じられる場合も、多いかもしれません。
「素人専門家」とは
『素人専門家』という言葉を耳にすることがあります。
素人専門家とは、
専門資格や肩書きはないものの、
実体験や長年の経験を通して特定分野に詳しくなり、
発信や支援を行う人のことです。
残念ながら、
資格のない支援者を揶揄するように使われることも、多い言葉です。
素人専門家と呼ばれても
現実の子どもたちを取り巻く環境は複雑で、
構造化などと言っていられないケースも多くあります。
社会的な仕組みや資格を整備するには時間がかかります。
一方で、子どもの成長は止まってはくれません。
枠を越えるからこそ届く支援があり、
救われる子どもたちがいます。
私自身、「素人専門家」と呼ばれる人たち
(不登校当事者だったり、保護者の方だったり、元不登校の人だったり)から
多くを学び、助けられてきた経験があります。
専門職とはまた違った立場の支援者として、
必要な存在なのではないかと思っています。
とはいえ、タツキのように
自分の家族と向き合う時間すら取れなくなるのはやっぱり心配ですね。
支援者にも、自分(と自分の家族)をケアする余裕が必要です。
支援者自身が守られていないと、
良質な支援を長く続けるできません。
そのために必要なことはなんだろう?と考える日々です。
ドラマからだいぶ脱線してしまいました。。
タツキ一家はどうなっていくのか…
『タツキ先生は甘すぎる!』
次回もお楽しみに☻