『思い出の風景を描いてください』という教示

 このコラムは、2026年4月〜6月放送の連続ドラマ
『タツキ先生は甘すぎる!』の
「アートセラピー監修者メモ」として執筆したnote記事をもとに、
一部を再構成・転載しています。関連記事一覧『https://art-method.net/category/ntv/

日本テレビ系列テレビドラマ
タツキ先生は甘すぎる!』にて、
アートセラピー監修をしています。

第4話をご覧いただけましたでしょうか?

まだの方は、
TVer、Hulu、Netflixでも
視聴可能ですのでぜひご覧ください!


以下、ネタバレを含みます

タツキの過去

4話ではタツキと、
その家族の過去が描かれました。

黒髪でマジメなサラリーマンの浮田立樹です。

 (↑脚本家、徳尾浩司さんのXより)

私がクランクインしたのも4話からでした。

なので
三雲とタツキがアートセラピーをきっかけに出会うシーンは、
個人的にとても思い入れのあるシーンです。

アートセラピーはどこでやっている?

日本ではまだまだアートセラピーを
受けられる場所が少ないと感じます。

特に一般向けにオープンにされている場所では、
ほぼ無い、と言ってもよいくらいではないでしょうか。。

三雲教授は病院の中のセミナールームで
グループアートセラピーをしていましたね。

私も病院に勤めていたとき、
同じようにアートセラピーのグループを担当していました。

病院などの施設内でアートセラピーをするとき、
その対象となるのは、
利用者(患者)様ご自身、またはご家族です。

特定の疾患や悩みを抱えていなくても、
誰でも同じ空間で参加できるのが
アートセラピーのメリットでもあります。

中の様子は、まさにドラマで描かれていた通り。
かなり再現度高くセットを用意していただきました。

「思い出の風景を描いてください」という教示

「思い出の風景を描いてください」という教示は、
アートセラピーでよく使われます。

みなさんだったらどんな風景を描きますか?

・パッと思いついたものを描く人
・じっくり考えてから描く人
・簡単に絵にできそうなものを選んで描く人

その風景を選ぶ理由は千差万別です。

もちろん、どんな風景を描いてもokです。

いつもとは違う心の経路

大切なことは、何を描くかよりも、
描いているうちに発生する心の動きです。

懐かしさが込み上げてくる人もいれば、
嫌な記憶が出てくる人もいるでしょう。

言葉だけのカウンセリングでは
出てこない感情や記憶が出てくるのが
絵で表現する理由のひとつです。

『話す』は日常的な行為ですが、
『描く』は非日常的な行為です。

いつもと違うことをすると、
脳がいつもと違った経路を通ります。

そうすることで、
言葉だけのコミュニケーションでは得られなかった
発想や記憶がふっと湧き起こってくることがあります。

それは自分自身でもまだ気がついていなかったこと、
あるいは忘れていた感覚かもしれません。

考えるより感じる

頭で考えずに感じること、
深く語らずとも感じられること。

アートセラピーを行う意義は多くあります。

これは足跡ですか
たくさん、歩いてきたんですね

『タツキ先生は甘すぎる!』第4話

このひと言が、
タツキが三雲に身の上を話すきっかけとなりました。

タツキは何を思っていたのか・・・

じっくり時間をかけて描きながら
改めて思い出すこと。

家族で歩いた砂浜
蒼空からもらった貝殻
ほんとうに大切なこと
自分にとっての幸せ
何が正解だったのかという戸惑い
いつの間にか離れてしまった家族の心のこと

タツキは「思い出の風景」を描きながら
何を思っていたのでしょうか…

1話から登場していた海辺の絵は
ここからスタートしたものでした。


『タツキ先生は甘すぎる!』
タツキの描く「思い出の風景」とともに、
次回もお楽しみに☻

この記事を書いた人

浜端望美 (はまばたのぞみ) 公認心理師/アートセラピスト 2011年より、精神科クリニック・私立高校にてカウンセラーとして勤務する。個人へのカウンセリングの他、集団療法としてアートセラピーを実施。その後、民間企業でのメンタルヘルスの仕事に従事し、企業人へのカウンセリング・アートセラピーの実践とともに、研修講師の経験を積む。 並行して2012年より3色パステルアート®︎の名称で活動を開始。これまでの参加者は2歳〜93歳までと幅広く、延べ6000人以上に指導。現在は3色パステルアートインストラクターの育成も行い、アートセラピーの普及活動に注力している。