『自分を知る』とは?

『自分を知る』とは?

『自己分析』・『自己探究』という言葉があります。
どちらも自分とじっくり向き合って『自分を知る』作業です。

自己分析や自己探究を行っている人はおそらく、自分の本当の性格や本質を知りたいと思っているのでしょう。

誰かと会話しているときと、SNSなどの文章、より本当の性格があらわれるのはどちらだと思いますか。

正解は文章です。

みんな自動補正しながら喋っている
まず、『喋る』という行為は、ひとりではできません。
喋っているとき、必ず1人以上は相手がいるはずです。そのとき人間は、無意識に相手の表情や声のトーンなどを観察して、微調整をします。

話題を変えたり、言い方を変えたり、表情を変化させたり、声のリズムや大小を変化させたり…人間はこのように、相手に合わせて喋り方を自動補正するのです。大なり小なり、誰もが無意識的に行っていることです。

文章は自分と自分との対話でしかない

一方で文章を書いているとき、人はひとりです。
読む相手のことを考えていても、それは自分自身の中にある『想像上の相手』でしかありません。
自分にとって都合の良い相手像に、頭の中で置き換えてしまっているのです。

実際に会ったことがある人のSNSの投稿をみて、
「なんだかいつもと違うなぁ…」と感じたことはありませんか。

私の知人でも、会うととても柔和で穏やかなのに、
SNSの投稿はどこか攻撃的で自己主張が強い印象の人がいます。

また別の人は、会ったときはそっけなくサバサバした印象だったのが、
SNSでは「私にかまって!」とでも言いたげな投稿が目立ちます。

文章とは不思議なもので、何度も読み返して客観的に捉えようとしても、結局それは“自分が”客観的に読んでいるだけで、自分の枠からは出られないのです。

喋っているときとは違い相手がいないので、自動補正されることはありません。
むしろ、推敲すればするほど、“自分”の色が濃くなっていきます。

逆を言えば、自分が今まで書いてきた文章を読み返してみると、本当の自分がより色濃く見えてくるはずです。

自分を知ることは自分の表現を知ること

ここでは文章を例に挙げましたが、つまりひとりで黙々と製作に没頭している時間は自分が色濃く出るということです。

自己表現=自分の中をアウトプットしたもの、といえます。
文章が得意な人もいれば、絵や音楽や料理やダンスが得意という人もいるでしょう。

言葉は表現の中でも、抽象度が低く、自由度も低いものです。
色や音や造形は、抽象度が高くより自由なものです。
そのため、文章よりもさらに深く自分らしさが反映されます。

「言葉にはできないけれど、自分はこんな感じなんだな」という体験を、アートセラピーを通して味わってみてはいかがでしょうか。
誰の影響も受けず、ひとりで没頭できる環境がおすすめです。
人に説明できなくても、自分自身が自分を知る、ということはとても大切なことです。

About|この記事を書いた人

浜端望美(はまばたのぞみ) 心理カウンセラー 3色パステルアート主宰一般社団法人日本心理療法協会 事務局長ベスリクリニックこころ外来 勤務JAPAN MENSA会員   1986年生まれ。神奈川県横浜市出身。大学卒業後、広告業界に就職。印刷やデザインに携わる仕事をしながら、本格的にカウンセリングを学びはじめる。 2011年心理カウンセラーの資格を取得し転職。椎名ストレスケア研究所(株)に勤務し心理カウンセラー・講師としての経験を積む。その後、心療内科デイケア勤務や研修講師などの経験を経て独立。現役の心理カウンセラーでありながら、優秀なアートセラピストの育成、アートセラピーの普及活動に尽力している。 日本ではまだなじみの浅いアートセラピーを、メンタルケアの現場に積極的に取り入れ、そこから得たノウハウを体系化。『癒し』『デトックス』などという、漠然とした言葉で語られがちなアートセラピーの領域を、論理的に、かつ分かりやすく解説する。論理と感情がバランス良く組みたてられた独自のカリキュラムは、アートセラピストだけでなく、心理カウンセラー、コーチ、看護師、教員、療育担当者、デザイナー、経営者など幅広い層に定評がある。NEXT MORE >>>